波は静かに岸へと寄せ、そして引いていく。その繰り返しは、まるで海がゆっくりと息をしているかのようだった。潮の香りが風にのり、どこか遠くの知らない町のことを思い出させる。
耳を澄ませば、波と波の間に、かすかな音が聞こえる。貝殻が触れ合う音、小さな泡がはじける音、遠くの船の汽笛。誰もいない砂浜で、ただ海だけが静かに語りかけていた。
この波の向こうには、どんな景色が広がっているのだろうか。まだ見ぬ場所、まだ知らない人々。そんなことを考えながら、波打ち際を歩いていると、足元の砂がひんやりとして気持ちよかった。
ふと立ち止まり、夜の海を見つめる。海の向こうには、きっと同じように誰かがこの波を眺めているのかもしれない。